会長挨拶

被爆80年節目の年 核兵器廃絶の実現のために活動

新年明けましておめでとうございます。
今年は団塊の世代が75歳の後期高齢者を迎える2025年。遠い未来だと思っていた年もひとつの通過点となります。技術の進歩は目覚ましく、AIが人間にとって代わる日も遠くないかもしれません。
協会新聞は1977年の創刊から48年ぶりに縦書きから横書きに変わりました。心機一転、協会活動も時代に即応して見直しを図りたいと思います。
レセプトオンライン請求は一般化し、オンライン資格確認、顔認証端末も日常の風景となりました。便利になった反面、便利を強要する医療DXは間違っています。便利かどうかは医療機関が判断するものであり、政府が声高に叫ぶものではありません。何十年来顔見知りの患者さんなのに、毎回顔認証で本人確認する必要があるのか。IT先進国の韓国ですら処方箋は紙というのに、誰も使わない電子処方箋を医療DX推進体制整備加算とするのか。そもそも医療DXという言葉自体が胡散臭い。制度で強要、利益で誘導しなくても便利なものなら自然に普及すると思います。
海外に目を転じると、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻に収束の兆しはなく戦禍はますます拡大しています。その中にあって日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことは素晴らしい出来事だったと思います。今年は被爆80年の節目の年でもあります。10月にはIPPNW世界大会が長崎で開催されます。ノーベル平和賞で盛り上がった気運を絶やすことなく核兵器廃絶の実現を目指して活動していきたいと思います。
一方で被爆者になれない被爆者、被爆体験者の問題があります。昨年9月の長崎地裁判決は一部勝訴で原告を分断、さらに岸田前首相は8月の被爆体験者との約束を反古にして勝訴原告に対する控訴を指示しました。許しがたい行為です。被爆体験者は被爆者です。今年こそ被爆体験者問題を解決し、広島と同様に被爆者健康手帳が交付される日が訪れることを望みます。

2025年1月1日
長崎県保険医協会
会長 本田孝也