協会では政府が東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出することを決定したことに対して、抗議文を21年4月15日に発出しました。
菅 義偉 内閣総理大臣 殿
麻生 太郎 副総理 殿
梶山 弘志 経済産業大臣 殿
長崎県保険医協会
会長 本田 孝也
福島第一発電所の「汚染水」の海洋放出方針決定に抗議する
4月13日、政府は福島第一原発の処理水について、2年後をめどに海洋放出する方針を決定した。
「処理水」などと誤魔化してはいけない。「汚染水」である。しかも他核種除去設備(ALPS)で取り除けなかったトリチウムだけでなく、微量ではあるがストロンチウム90やヨウ素129などトリチウム以外の放射性物質も含んだ極めて毒性の高い「汚染水」である。
薄めればよいというものではない。薄めたからといって毒性が消えるものではない。規制基準はあくまで基準であって安全性を保障するものではない。
麻生副総理は「別にあの水飲んでも何ちゅうことないそうですから」と発言されたが、とても本当とは思えない。ましてや麻生副総理がお飲みになる100g、150ベクレルの水と、毎日170トンずつ増え続け、林立する汚染タンクに貯蔵されている120万トン、860兆ベクレルにも及ぶ汚染水とでは比較にならない。
菅首相は海洋放出を正当化するために「科学的根拠に基づいて」を連発するが、「薄めればトリチウムは人体に影響しないと」いう科学的根拠は存在しない。
薄めようと薄めまいと海にはいってしまえば一緒である。「薄めて放出するから大丈夫」は詭弁に過ぎない。
ましてや地元住民が強く反対する中で「汚染水」の海洋放出を強行することは到底許されることではない。
菅総理は風評被害対策を強調されるが、実害が生じないという保証はどこにもないのである。
当会は科学的根拠もなく、住民の意思をも無視して強行されようとしている「汚染水」の海洋放出に強く抗議し、方針の転換を求めるものである。
以上