声明:妊婦加算の凍結に抗議し、真の妊婦対策、少子化対策の実現を強く望む(2019年1月15日)

今次改定で新設された初・再診料の妊婦加算をめぐり、患者等から「妊婦増税」等と批判が相次ぎました。その結果、中医協の審議を経ず、厚労省及び自民党厚労部会主導で1月からの加算凍結が決定されました。

協会は凍結に対し、昨年12月理事会及び1月の常任理事会で対応を協議し、声明を発表しました(別掲)。首相や厚労大臣、中医協会長、県選出国会議員、マスコミ等に送付しました。

 

【声明】

妊婦加算の凍結に抗議し、真の妊婦対策、少子化対策の実現を強く望む

2019 年1月15日
長崎県保険医協会
2018年度第6回常任理事会
2018年度診療報酬改定に新設された妊婦加算は、本年1月1日から当面の間凍結され、凍結の範囲は産科・産婦人科特例にも拡大された。
妊婦への医療提供にあたっては、「医薬品によっては催奇形性がある」「頻度の高い合併症がある」「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療が必要」等、特別の配慮が必要であることにより、診療報酬で評価されたものである。
しかし、一部の患者やマスコミからSNS やインターネットを通じて「妊婦増税」「妊婦に優しくない」「少子化対策に逆行」等の批判が上がり、「凍結」という政治的判断により終息させたことは誠に遺憾である。
診療報酬上、妊婦加算以外にも小児・地域・障害者など患者属性に対する加算は多数存在する。いずれも加算する合理的理由が存在することをもって設けられたもので、妊婦加算だけが例外ではない。
小児加算が「小児増税」に当たらないように、妊婦加算が「妊婦増税」に当らないことは明白である。妊婦加算による窓口負担増だけを取り上げて、医療機関に責任を転嫁するような事態には憤りを禁じ得ない。
妊婦加算により妊婦の自己負担が増えることが問題であるというなら、政府は一部負担割合の軽減を検討するべきである。例えば、母子手帳を持っている妊婦はその提示によって一部負担が軽減されるような施策を検討すべきだ。現に、全国9つの県で妊産婦に対する医療費助成制度が実施されている。妊婦に優しい良い制度をこの機会に全国に広めるべきだ。
妊婦はできるだけ診ないとする医師が増えていることを指摘する声も根強い。その理由は苦情や訴訟が増加傾向にあることは間違いないが産婦人科以外の医師も積極的に同科と連携しながら妊婦の健康管理を担うなど、国民の期待に背を向けてはならない。
当会は安心して出産し、子育てが出来る医療制度を確立させ、妊婦に対する窓口負担軽減や、出産、育児などにかかる費用の負担軽減を国の施策として実現することを強く望むものである。

以上